MESSAGE
代表インタビュー
株式会社アイネクストを設立した背景について教えてください。
私は20歳で印刷業界に入り、かれこれ40年以上この業界で働いてきました。私が印刷業界に入った当時はすべてがアナログ。人の手による繊細な作業が印刷を支えていたのです。ところが、20年程前から世の中がデジタル化へ大きく舵を切り始めた。印刷業界で言えば、印刷機はもとより、刷版やデザインといった工程にもデジタル機器が導入されるようになったのです。
便利になった一方で、それまで印刷技術を担ってきた人たちの職人としての付加価値は下がり、デジタルメディアの普及に伴って主要な印刷対象であった紙メディアの数も減少。結果として業界全体が安売り競争の流れに入っていきました。
そのような中で「印刷会社の価値とは何か?」を改めて考えたとき、思い至ったのが“ソフトとしての価値”です。“インキを刷る”といったハード面の仕事がいかに機械に取って代わられようとも、デザインを考えたり繊細なカラーマネジメントを行ったりするには人間の感性が必要。そのようなソフト面の力を発揮していければ、印刷会社も存在価値を高めていけるのではないかと考えたのです。
そこで、コンテンツ制作という観点から印刷に紐づく業際サービスを取り込み、地域の中で優れたソフト力を発揮していくべく、2012年に当社を設立しました。
事業の特徴について教えてください。
販促物などの企画から、撮影、原稿作成、デザイン、印刷、加工、配送といったところまで、すべてワンストップでお引き受けしています。デザインを手掛ける印刷会社は他にもあると思いますが、企画も取材も封入・封緘も配送も、すべてできる印刷会社はうちぐらいではないでしょうか。
リストをいただければ郵便局や宅配会社まで持って行って配送手配するため、お客様は当社とやり取りするだけで最終納品まで任せられるという訳です。また、その他にも映像やHPなどの各種デジタルコンテンツの制作も行っています。
紙以外の特殊印刷も行っていますね。
はい。紙媒体の印刷は昔に比べれば確かに少なくなってきていますが、その分、媒体自体が多様化してきているので、どんな媒体にも対応できるような体制を整えています。布地やビニールへの印刷ができるので、お店のノボリや看板、エコバッグ、クリアファイルなど、さまざまなものを制作することが可能です。
昔は「印刷会社は紙だけ、看板会社は看板だけ」といった具合に媒体によって業界が細分化されていましたが、当社ではそういった紙以外の媒体も“印刷の業際領域”と位置づけ、カバーしています。
他の印刷会社や制作会社に対する株式会社アイネクストの強み
とは何でしょう。
それは第一に“スピード”です。例えば、今日入稿されたなら明日には何らかの形にして持っていく。内容によってはお待ちいただくものもありますが、可能な限り速やかに仕事を進めていくことを大切にしています。お客様からは「何でこんなに早く持って来られるの?!」とよく驚かれますね。
迅速な対応は、「株式会社アイネクストに頼めばすぐできる」という評価につながります。そういったところで培われる信頼関係は、ビジネスを展開していく上で大切なことだと考えています。
確かに、お客様にしてみれば校正や納品までの期間は短いに越したことはないですね。
はい。ただし、早いからといって品質が悪ければ元も子もありません。“スピードと高品質を同時に実現する”というのが、他社との差別化のポイントです。では、高品質を担保するものは何かというと、一つはお客様のニーズを正確に汲み取る営業の力量であると言えます。いかに緻密な情報を入手し、それを現場に伝えられるか。コミュニケーション能力の高さが品質を支えます。
もう一つのポイントは機械だけに頼らない、現場スタッフの職人としての感性です。印刷の色味は機械だけでも90%を超える精度で仕上げることが可能ですが、それを100%にするには人間の目が欠かせません。残り数%の完成度を実現できるのが、印刷を本業とする当社の強みです。
なるほど。それこそがプロの仕事なのですね。
そうです。私がよく社員に言っているのは、「自分の頭で考え、考えたものを形にし、形にしたものに責任を持とう」ということです。 というのも、お客様から言われたことをやっているだけではプロの仕事とは言えないからです。お客様の要望を吸い上げた上で、お客様の期待を上回るプラスαの仕事ができてこそ、本当のプロ。
まずは営業がお客様の真意を正確に吸い上げ、それをしっかりとオペレーターに伝え、一緒になってより良い制作物を生み出す。そして、その一連に責任を持ち、それぞれが自分ごととして妥協せずに最後までやり遂げることにこそ、私たちの存在意義があると考えています。
「思考」「実行」「責任」という訳ですね。
ええ。何より働いている人間たちも、言われるままの仕事ばかりしていては面白くありません。そのような仕事ばかりしていたら、社員たち自身もどんどん疲弊していってしまうでしょう。ただでさえ、印刷会社は昔から帰る時間が遅いという受注産業の宿命を背負ってきました。私はこの働き方を抜本的に変えたいのです。先ほど、「スピード感が当社の強み」と言いましたが、スピードにこだわる理由は実はもう一つあって、それは社員の労働時間を短縮させることです。
モノづくりの根本は“人”ですから、やっている人間が疲弊して仕事に情熱を持てなくなってしまったら、制作物もつまらないものになります。そうならないためにも働き方改革を進め、皆がよりイキイキと働ける会社にしていくことが、今後の発展にとっても重要であると考えています。
今後の展望について教えてください。
紙の印刷がなくなることはありませんが、市場としては今後も縮小していくでしょう。自治体や研究機関などと一緒に、印刷の今後について話す機会を設けているのですが、そこで話しているのは“印刷のノウハウをいかにデジタルメディアに活かしていくか”ということです。
スマホなどはすでに多くの人にとって身近なメディアになっています。最近ではVRといった新しい表現も生まれてきました。今後はそのようなデジタル技術を持つ企業とタイアップし、コンテンツを構築していくような仕事にも取り組んでいく必要があるでしょう。つまり、当社がこれまで行ってきた印刷の業際の仕事を、よりデジタルの領域に拡大していくということです。
もちろん、そうした展開の中でも、芯になるのは“人”というソフトであり、それが当社の最大の強みであることは変わりません。人の力で感動を届ける——それが株式会社アイネクストの使命です。
未来創造企業
株式会社アイネクスト